みやけ雪子タイトル

2014年11月16日

永田町仮想政治小説「風雲急を告げる」③

鮎川総理はA国でのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会談の帰り。顔にかなり疲れが出ている。しかも、明らかに不機嫌そうだ。

鮎川総理は短気でキレやすいことで知られているので、いつもにもまして、記者にとって緊張を強いられる会見となるだろう。怒らせてしまうと、あっという間に出禁(出入り禁止)になってしまうからだ。

不機嫌も当然だろう。今回の現地での扱いは酷いものだったようで、恥をかきに行ったようなものだと言われている。ホスト国のA国には特に冷遇された。A国との首脳会談が途絶えていることは、外交的な大きな課題だったので、会えたことで、一つ問題はクリアできたとも言える。しかし、目も合わせなかった、形ばかりのあの会談が果たして前進だったといえるのかどうか。

東西テレビからは、今回は政治部デスクと霞クラブ(外務省記者クラブ)が総理に随行し、官邸クラブからは記者は行かなかった。

この判断は、結果的には正解だった。鮎川総理の外遊中に、消費税再増税の延期や、解散・総選挙の動きがにわかに活気づいたからだ。

この動きが総理の指示によるものなのか、それとも、党内(官邸)抵抗勢力が作りだしたものなのかも今はわかっていない。

また、幹部がテレビで「これから悪くなる一方だから、(多少議席を減らしても)支持率が高い今のうちに。念のため解散だ」と口を滑らしてしまった。

当の総理が国内にいなかったこともあり、真相は藪の中。情報がかなり錯綜している。

総理が、壇上に上がった。しっかりとプロンプター(原稿を映し出す機械。顔をあげたままスピーチができる)も用意されている。

ふと、横に目をやると、首相補佐官の加藤が慌ただしく携帯で誰かと連絡を取っている。

「何だろう」水谷はこちらの方が気になった。


(④に続く)

注:この小説はフィクションであり、登場する会社、人物などは全て架空のものであることを御承知おきください。

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