みやけ雪子タイトル

2016年02月18日

三宅雪子ツイキャスインタビュー文字起こし(2015年3月19日配信)③POSSE 代表今野晴貴さん

②の続きです。

(今野)
さっきも申し上げたように、サービス業の労働集約型の仕事ですから、例えば店長さんとか店員さんを1分でも1秒でも長く働かせた方が、会社としては得なんですね。その分お店を安く長い時間開けといて利益を出すことができますから。そういうことを繰り返してても、その働いている人の能力が上がっていって昇進したりとかいうことがほとんど見込みがないのに、無理やりその人を例えば管理職という形にしてみたりして、長時間働かせる。今、出てきてる法案なんかもこういうのに絡んでるわけなんですが、定額で使い放題になってしまうわけです。

(三宅)
そう。今、「定額使い放題」という言葉が流行りそうなぐらい言われてますよね。

(今野)
あの「定額使い放題」は私が考えたんです。

(三宅)
あっ、「定額使い放題」は今野さんが。今野さん、なんか言葉を考え出すのがすごくお上手なように思うんですけれども。

(今野)
そういうことをやってる会社では、どんなに頑張っても見返りがないんです。使い放題でどこまでも鬱になったり死んでしまうまで使われてしまうだけという、そういう職場がやっぱり今までの企業よりももっとひどい会社なんだと思います。

(三宅)
そうですよね。話を聞いていると、やっぱりその今の見返りの問題ですとか、あとやりがいの問題ですとか、そういうところはかなり関係していると思うんですよね。私もかなり厳しい業界にいたんですけれども、けっこうやっぱりやりがいがあったり楽しかったので、周囲も含めて勤務に関して「苦しい」とか「休みがない」とか、実はほとんど文句が出ていなかったんですよ。それは、おそらく仕事内容に周囲が満足していたからじゃないかと思うんですけれども。かなりハードな勤務ではあったんですが、やっぱりあとお給料も含めて見返りがやっぱりあるという部分で、労働者側が満足しているとブラックとならないような側面もあるのかなというふうに思いますし、それがないと逆にブラックというふうに労働者側は思うということですよね。

(今野)
そうですね。今おっしゃっていただいたような、やりがいがあってきつくても、昔から日本の企業の社員って働いていたわけじゃないですか。で、けっこう昔の統計を見ると、こうなるんですよ。「長時間働いている人ほど仕事にやりがいを感じている」というデータが出てくるんですね。

(三宅)
あっ、そういうデータがね。

(今野)
一方で、最近の統計はこうなっているんですよ。昔は長時間働くほどやりがいもあったのにプラスして、給与も高かったんです。ところが最近は、過労死ラインまで働いている人たちが年収250万円以下というのが、どんどん割合が増えていっているんですね。ですからどんなに長時間働いても全然給料がもらえない。「ワーキングプア」という言葉があるじゃないですか。非正規雇用に使う言葉ですね。私は、これから「ハードワーキングプア」というのを使わなきゃいけないんじゃないかなと思っているんです。

(三宅)
「ハードワーキングプア」ね。ですから、そういう意味では今回の国会で「残業代ゼロ法案」「高度プロフェッショナル制度」とか言ってますけれども、あの法案ですとか、もちろん派遣法も改正案とあるわけなんですけれども。残業代ゼロ法案は、本当にさきほどおっしゃったように定額使い放題ということで、大変なことになるんじゃないかと。今「自分は関係ないよ」と思っている方々も、経済界は年収400万円程度を目指したりもっとそれ以下をおそらく目指しているでしょうから、結局は今おっしゃったような状況になってくる、過労死も心配になってくるということですよね。

(今野)
その長時間労働をしてる人たちのやりがいはどうなってるのかっていうことなんですが、実は今、新しく『ブラック企業2 「虐待型管理」の真相』(文春新書)で、ベストセラーになった本の続編なんですが、そこで詳しく事例を分析したんですね。そうすると、やっぱりブラック企業に入る人たちというのは普通の若い人たちなんですよ。

そうすると、いわゆるブラック企業と言われている大企業の社長は、「夢を持て」だとか「我が社はグローバル企業だ」とか大きなことを言うわけです。そうするとそこに希望を持って入っていくんですよね。希望を持って入っていって、やっぱりやりがいを感じているんです、最初は。長時間バリバリ働いているけれども「上を目指すんだ」っていうふうに言われて、「お前は上を目指せ、上を目指せ」と言われているので、本人たちもそこに順応して「自分は頑張るんだ」という気持ちで最初は働いているんですよ。

ところが、だんだんだんだん時間が経つと、あまりにも長時間労働の上に、毎日毎日「業績目標を達成しろ」というような圧力をかけられる。しかも、それはどんどんどんどん無限に増えていってしまうんですね。例えばある相談なんかでは、20代で店長になって「やった」と思ったんだけれども、「人が足りないから2店舗、店長をやれ」と。それを、もちろん長時間労働になるんだけど頑張ってこなしてたら、今度また「もう1店舗やれ」と。

(三宅)
もう1店舗。3店舗ですか。

(今野)
そうですね。「もう寝る時間が全くない」っていう労働相談なわけです。だから、最初は目標を持って頑張っている。会社が「もっと成果を出しなさい」「こういう目標を達成しなさい」って出されると、最初は前向きに頑張っていくんですよ。「それが自分のキャリアを作っていく道だ」「将来につながっていくんだ」と思っているんですが、だんだんだんだんそれがもう無理なことになってくるとどうなるかと言うと、多くの人はもう何も考えなくなるんです。

聞いてると、「友達と年に1回しか会えない」とか、そういう話になっていくんですね。将来のことを考えているかというと、もうそれも考えられていない。それで最近、親御さんからの相談が多いんですよ。娘・息子から、もう朝から晩まで働いて、休みの日もどうも出勤しているみたいだと。で、「大丈夫なのか。たまには休んだ方がいいんじゃないか」と親が言うと、もう聞く耳持たないと。「もうそんなことを言っている場合じゃないんだ」と、「仕事があるんだ。今、目の前にこれをやらなきゃいけないんだ」と。

だから、本人ももう何も考えないようにするわけですね。将来のこととか、自分の健康とか家族とか。考えないでもう、何て言うんでしょう、ある種の「心神喪失状態」って私は呼んでるんですが、この状態で長時間労働をただひたすらこなし続ける。こういうようなふうに、入って最初はやる気があって自分からなんだけど、気付くともう目的が何なのかわからなくなってしまっている。そういう状態で働かされ続けている。こういう人たちがものすごくたくさんいるんじゃないか、というふうに思っているんですね。

(三宅)
はい。あっ、今コメントがいろいろ入っているんですが、「今野さん、コメント見ていただけてますか?」ということなんですけれども。

(今野)
えーと、どこから見るんですか?

(三宅)
パソコンで私のツイキャスのところを見ると、コメントが出てきてるんですよね。

(今野)
あっ、はい。

(三宅)
私が要所要所で読み上げたいと思っているんですけれども。ノルマの問題なんかで考えると、ノルマがある一方で、裁量労働制っていうのは、結局のところ時間内に終わらなくて・・・。裁量労働制の前にごめんなさい。結局、仕事を成果でじゃあ評価すると。残業代ゼロなんですけれども。そうなると、仕事が終わらない方っていうのもやっぱりいると思うんですよね。その人たちがどうするかっていったときに、早朝出勤したりとか持ち帰り残業とか。持ち帰り残業は労災になりにくいと思うんですけれども、今おっしゃった過労死するまで勤められる方もいる一方で、政府の方は見かけ上残業が減ったように見せるためになのか、企業側に制限をさせようという動きもある中で、「隠れ残業」みたいなのがこれから出てくるように心配なんですが。

(今野)
そうですね。もうそれは蔓延してるんですよね。ですから本当に、ある大手の小売店の事例なんかだと、半年間で店長にしてしまうんですね。半年間で店長にしてその後どうなるかと言うと、「管理監督者」という扱いにするんです。

(三宅)
管理監督者。

(今野)
管理監督者というのは、要するに管理職で残業代が付かないという役職ですね。これに半年で就いてしまうわけです。そうなると、もうこれはあと、ノルマが降ってきたらサービス残業でこなすしかないですよね。しかしながらこの会社がすごいのは、もちろんサービス残業をやらせていると、これは違法なんですね。当然、管理監督者というのは、新入社員半年とかその辺の人たちに適用できるはずがありませんから、違法なんです。

④に続く

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