29日、閣議後の会見で、茂木経産相は、ダボス会議での米通商代表部カーク代表との会談を受け
て、TPPでの関税撤廃の例外品目について、「一定の感触を得ている」と述べたとの報道。
危惧していた状況に。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2900X_Z20C13A1EB2000//
民主党時代の議論を振り返ると、TPPを推進しようとする立場の議員と反対の立場の議員がいく
ら話し合ってもすれ違っていたのは、このTPPをどう捉えるかが根本的に違ったからだ。
TPPは通常の経済協定ではなく、あくまでも日本の医療や食の安全が脅かされる構造協議であ
るという最大の問題点を認識しなければ、結局のところ、今回の会談でわかるように参加に向け
ての交渉の落とし所が関税の「例外品目」になってしまう。また、投資家や企業が期待した利益を
得られなかった時に国を訴えることができるISD条項のリスクへの懸念が払しょくされないまま、
参加してしまうのはあまりに無防備すぎる。このISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)の危
険性については、野党が特に予算委員会で野田総理に鋭く追及していたことである。現に韓国で
は2か国間のFTAであるのにも関わらず、このISD条項を拒否しなかったため、すでに訴訟が起
こされている。(アメリカーオーストラリアのFTAではオーストラリアの強い意向でISD条項が適用
されおらず、またTPP交渉においてもオーストラリアはその除外を主張している)
その一方、現在結ばれている各種経済協定でこの条項で日本が訴えられたケースがまだないた
め、楽観視する声もある。しかし、アメリカという国が訴訟国家であるは世界的にも共通認識であ
ると思われるし、話し合いで解決をしようとする他の国々と同一視するのはいかがなものか。今
の交渉の流れは、すっかり聖域なき関税の撤廃の是非になっており、論点を戻さなければ、いく
つかの「例外品目」で決着、となってしまう可能性があるように感じられる。非常に危険だと思う。