経団連の経営労働政策委員長は、「円高是正や株高が企業業績という成果になるのは夏以降だ」と現段階で賃金を改善するのは難しいとの考えをあらためて表明。
思い出すのは、2002から2007年、企業が最高益を上げ、内部留保は約200兆から約300兆まで膨れあがり、景気が上向いたとされた頃のこと。しかし、実際にはデフレは止まらず、給与は上がらす(1年だけわずかに上がった年があったがその後下がり続けた)、今もって、その状況は改善されていない。企業の業績アップが(賞与には反映する可能性はなきしもあらずだが)ストレートに給与に跳ね返らない構造となってしまったのがこの時代。景気がよくなったと実感ためにはやはり賃上げは必至。しかし、そのためには企業に何かしらのインセンティブでもなければ、「お願い」だけでは、簡単には応じてくれそうもなさそうだ。
最近、黒字転換したメーカーを見てみると、人件費などの固定費の削減により増益を確保しているところが目立つ。人件費を「コスト」とさらりと言うようになって久しいが、この感覚にはいまだに大いに違和感がある。高度成長した日本を支えたのは、欧米の合理主義とは違う、人を財産と考えた、日本型家族経営だったはずなのだが。ああ、回顧主義になってしまう。