国連憲章にみられる連合国の旧敵国に対する差別的規定。
これは同憲章が第2次世界大戦の末期に連合国だけによって作成されたものであるため,日本,ドイツ,イタリア,ハンガリー,ルーマニア,ブルガリア,フィンランドなどの敵国を特別に取扱っている。
すなわち,第 53条では,地域的取決めまたは地域的機関による強制行動は安全保障理事会の許可なしにはとれない旨を定める反面,旧敵国に対する場合はその例外を認め,また第 107条では一般的に,憲章のいかなる規定も連合国が旧敵国に対し戦争の結果とった行動を排除するものではないと定めている。
この規定に対して,1950年代に相次いで国連加盟国となった旧敵国は,この条項の非合理性と不当性に対する不満を表明するようになり,撤廃を主張するようになった。日本政府も国際環境の変化を考慮に入れて再三,撤廃を呼びかけている。